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オリジナル曲の完成

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どうもーやまむらこういちです。

6月に入ってしまいましたが、ついについにオリジナル曲の完成です。
私が所属している楽団では団長を務めているのですが、私と同じく楽団の立ち上げメンバーであり、副団長である団員と共同作品を作ることになったと以前書きました。
それがようやく完成したんですね。早速ご覧ください!

この曲は副団長が作ったフレーズをもとに私が曲として仕上げたものです。
これの制作過程を、今日は紹介しちゃおうと思いますので、「ふーん」って見てあげてください。

題材フレーズの拡張からスタート

副団長が作ったフレーズまずは副団長が作ったフレーズです。このフレーズ、一応副団長はトランペットなのでinB♭として書いたと勝手に見なして調を決めました。
私は転調が多い曲が好きなんですけど、今回は転調なしで行くことにしました。途中、別の調を借用するような部分がありますが、あくまで転調ではありません。

このフレーズは4小節しかないので、まずはこれを拡張していくことから始めました。
後ろから戻ってみたり、上下さかさまにしたり、それを両方組み合わせたり…とまずはこのフレーズそのものをいじってみましたが、どれもピンときませんでした。
ということで、このフレーズをもとに新しいフレーズを作成することにしました。
いくつかスケッチのようなものを書き、音を入れていきます。

第10回定期演奏会オリジナル曲スケッチこうして4小節×4のフレーズができました。これをこの曲の主たるメロディとして決定しました。
でもこの完成形は曲中でたった1度しか出てきません。後半の一番の盛り上がりでのみこの形を使うことにしようと、メロディを作成する前から決めていました。
動画の5:40あたりからがその部分です。

3連符部隊がにぎやかなので、少し聞き取りづらいですが、トランペットを中心に演奏しています。
この部分では、かなり細かく和声を変えていて、1拍ごとに変化する部分も多くあります。

モチーフの追加で、より統一感をだす

メイン部分ができたところで、次にもう一つの素材を作成することにしました。
副団長からフレーズをもらいましたので、私からも一つ素材を出すことにします。
私の場合はフレーズではなく、一種のモチーフのようなものとしました。

曲の一番最後でトロンボーン、ユーフォ、チューバが4つの音を順に下って終わりますが、その4つの音が私が出した素材です。
全音で降っていくちょっと変わった素材ですが、このへんてこな音の並びのおかげで、たった4つでも曲中に出てくると気づきやすいんですね。
普通、順当に4回音を降っていくと、どこかしらに半音が入ると思います。その方が聴いていて違和感ないんですね。

私たちがよく触れる曲は大抵長調とか短調とか呼ばれる音の並びで構成されています。
で、長調をよく観察すると、「ドレミファ」と「ソラシド」の2つのテトラコードに分かれていることがわかります。
どちらも「全音→全音→半音」という差で並んでおり、それが全音で結びついているんですね。これを長音階としているわけです。

今回の曲は短調です。わかりやすくハ短調で言うと「ド→シ♭→ラ♭→ソ→ファ…」と下っていきますが、この「ソ」を「ソ♭」に変えたんですね。
音階のこととかわからない人でも、聴けば何となくの違和感を感じるはずです。今回はこのような全音3回で降る4つの音を素材にしました。

全体の構成を考える

素材が出そろったところで全体の構成を考えていきます。
いつもは急→緩→急とか緩→急→緩のABA形式であることが多いのですが、今回は緩→急の2部としました。
後半のメイン部分は遅くなりますが、大きな枠としては2つです。

そしてこの流れの中で、メインのメロディを1回だけ使うことにしました。そのため、メインを使うまでに何回も何回もその一部を登場させるようにしたのです。
ちょいちょい一部を見せながら進めていき、最後に全体像をドーンと明かすみたいな流れにしようと、おおまかに決めたわけです。
そのためにはもう1つ2つほど、大きなフレーズが必要でした。さすがにちょい見せだけでは尺が足りませんからね。

そこで考えたのは、動画の3:38あたりから出てくるフレーズ。
副団長からもらったフレーズからリズムを受け継ぎつつ、メインとは別の拡張をしていきます。これは比較的早くできました。こういう拡張は結構得意なんです。

もう一つは前半の緩の部分でも後半の急の部分でも使えるようなフレーズづくりです。
動画の4:09から40秒ほどで演奏される部分です。正直言うと、この部分に一番時間がかかりました。
時折、もらったフレーズのリズムを使いながら新しい動きを作っています。
前半部分は1:11くらいから登場します。後半と比べてややリズムや音に違いがありますが、前半の緩の雰囲気に合わせて変更した結果です。

ヘ短調の曲で転調なしですから、ずっとそのままだと変化が無さ過ぎてつまらない。
だから一時的に5度下の変ロ短調を借り受けたんですね。その借り受け部分がこのフレーズ群なんです。

移住か旅行か

少し込み入った話をしますので、適当に流してください(笑)
私が先ほど出した素材(全音3回で降る4音)からどう動くかを考えていたんです。
またまたわかりやすくハ短調で説明します。

ド→シ♭→ラ♭→ソ♭と降ってきて、このあとどうするかを考えた時に、2通りの動きを作ったんです。
一つは半音上がってソに行くパターンと、もう一つは半音下がってファに行くパターンです。
半音上がってソに行くと、この調の属音である音なので、再び主音であるドに帰りやすくなるんですね。
だから基本的にはこちらのパターンを使うことで、調が崩れないようにしていたんです。
動画でいうところの0:23のところです。

そして変化を付けたいところで、もう一方のパターンを使ったんですね。
ファは下属音なので、これはこれで主音に戻る力を持ってはいるんですが、属音ほどではない。
だからそのまましばらく下属音ファを主音とする調に旅行に出かけることにしました。これが旅行ではなくて移住になると転調になるんですね。
旅行なのでいつか帰ってきます。ずっと国内にいるよりも時折海外旅行した方が、刺激も多くなるでしょ??音楽も同じです(私は海外に1回しかいっていないけども)

こうして全体を構成する各パーツが出来上がりました。
あとはどうやって終わるかです。終わりを作るのは実は苦手な作業なんですね。

終わりは全体の総括

これはあくまで自論なのですが、曲の終わりは曲全体のバランスに大きく左右されると思っています。
たかだか3分の曲でその終わり方するの!?とか、こんだけたいそうな曲なのに終わりがあっけないとか、時々出会うんです。
いい曲だなーと思うのは、たいていこの終わり方が全体のバランスとぴったり一致しているときなんですね。終わりよければすべてよしですからね。

自分で曲を作ると、どうしてもこのバランスがうまく取れないんですね。
今回の曲は構成として2部構成で、長さは7分弱。転調もなく、それほど展開が目まぐるしいわけではない。
短い曲ではないけど、お腹いっぱいになるほどではない。やや軽いイメージです。

そこに重量級の終わりが入ってきてもバランス悪いわけですね。
クラシックの大曲のような終わり方してもしょうがないわけで、ここは身の丈にあった終わり方をする必要があります。
最初もらったフレーズをどうにかして最後に持ってこようと思ったのですが、尺的に微妙だったので、自分が出した素材の方を使うことにしました。
これならたった音4つですからね。しかもちゃんと冒頭から使っているから、締まりはする。

さすがにメイン部分が終わって即4発じゃ尻切れすぎるので、もらったフレーズの一番最後の部分だけ拝借しました。
ここだけならコンパクトさを失わず、適量の終盤を作ることができると思ったからです。
実際完成した曲を聴いてみて、長さや規模のバランスは合っているかなーと自分では思っています。
一応、演奏会では1部の最後に位置しているわけだし、「終わった」感がしっかり出るようにはしたかったんです。かつ、コンパクトに…ということでこの形に落ち着きました。

自分の中では成長を感じた!

結局は音楽専攻でもないアマチュアが作った曲なので、専門の知識を持った人からすれば稚拙なものかもしれません。
それでも、ここ何年かで作ってきた曲の中では個人的にはよくまとまっているし、面白い仕上がりになったかなと自賛しています。
題材としてフレーズがあったことで、ある意味込み入りすぎない曲に仕上がったのかなとも思います。

とりあえずこの第10回定期演奏会を節目として、私が作るオリジナル曲を今後も続けていくのかという審議も行われます。
観客の誰一人として知らない曲、しかもプロでもない人間が趣味で書いた曲を今後も楽団で演奏していくのかというのは、前回の演奏会の反省で出た意見です。
これを楽団の特徴とするか、ただの負担とするか…。この曲が握っている…のか??
もし、続けるとなれば来年も、今年よりちょっぴり進化した曲作りをしていけたらと思います!

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-作曲, 動画

執筆者:


  1. 教授 より:

    スネアの3連は苦手なんですが、パターン練習にもなる曲だと感じました。意外と3連の頭が2発あるフレーズって叩いたことなかったんですよね。今回の曲はやまむらさんが作曲した中で1番好きですし、聴いていてもどこか親しみやすい雰囲気があります。

    • コメントありがとう!

      3連符とか8分の6とかが大好物だから、今後もたくさんあると思います(笑)

      親しみやすいのは副団長が作ったフレーズのおかげかもねw
      今回の曲は自分でも結構気に入っています!

  2. […] 1部は私が作曲したファンファーレでスタートし、吹奏楽コンクール課題曲だった「ポップス・マーチ『すてきな日々』」と、副団長との合作であるオリジナル曲を演奏しました。この合作オリジナル曲は以前このブログでも紹介させていただきました。こちら。 […]

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