演奏 雑記

「手術」って言えますか??

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どうもーやまむらこういちです。

またまたまたご無沙汰してしまいました。気が付いたら2学期スタートしてました。

先月の11日には所属する吹奏楽団の定期演奏会が無事に終わり、次の演奏会に向けて準備を始めるところです。こういう本番のたびに自分たちの課題を再認識しますね。去年と同じ反省をしていたり、新たな問題が出てきたり。直すべきところを見つけて改善するのは大事ですが、良くなったところにも目を向けたい今日この頃です。

「手術」っていうのが苦手

さて突然ですが、皆さん「手術(しゅじゅつ)」って言えますか??もともと滑舌があまりよくない方だけではなく、ほかの言葉は大丈夫なのに「手術」だけは苦手という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

かくいう私もそこまで滑舌で困りはしないのですが、この「手術」はどうしても言えません。「しゅじゅ」も「じゅつ」も言えるんだけど「しゅじゅつ」は言えない。なぜなのかを考えていたら、楽器演奏につながりそうだったので、今日はそのお話。

何気ない会話の中で出てきた滑舌についての話題。人によって苦手とするものがあって、「しゃ」「しゅ」「しょ」を含むサ行が苦手だったり、「貨客船万景峰号(マンギョンボンごう)」が苦手だったりしますね。その中でも「手術」が苦手という人が自分を含めて多い気がしました。

肺からの直接供給がいらない??

肺が休んでいても

言葉をしゃべる時には自然と息を吸いますね。発生には息が必要だからです。しかしその必要とする息の量はその発音する言葉によって異なります。

問題となっている「手術」は「しゅ」「じゅ」「つ」の3つを連続で発音します。そしてこの3つはとある共通点があるのです。それは肺から直接息を供給されなくても発音できるということです。

どういうことか例をあげてみましょう。たとえば「あ」という発音をしてみることにします。普通に発音できると思います。それでは息を吐き切ってみてください。吐き切ったなーと思った後でも2~3回はまだ息を絞りだせるはずです。すべて出し切った状態で「あ」と発音してみてください。言えましたか??おそらくできないはずです。それは「あ」という発音をするには肺からの息の供給が不可欠だからです。

それではもう一度すべての息を吐き切ってください。その状態では「あ」と発音ができませんが、「しゅ」は発音できるはずです。同様に「じゅ」も「つ」も発音できると思います。実はこの3つの言葉の発音には舌より奥の喉のあたりの空気を利用して発音できるのです。もちろん肺からの供給があれば発音できますが、最悪無くても言えてしまいます。

喉のあたりの空気もなくなれば「しゅじゅつ」は発音できなくなります。先ほどのすべて吐き切った状態で、何度か「しゅ」と発音しているとやがてはできなくなるはずです。

舌があれもこれも仕事をするから言えない

仕事が多すぎる

肺からの直接供給無しで発音できてしまうのはわかりました。ではなぜ「手術」が言いにくいのでしょうか。

「しゅ」も「じゅ」も「つ」も喉のあたりの空気を舌と喉が押し出すことによって発音できます。逆に言えば、舌と喉が3回空気を送り出す仕事をしているということになります。加えて、舌は「Sh(シャ行)」「J(ジャ行)」「T(タ行)」の発音をする必要があります。結局この多すぎる仕事に耐えられず「手術」と発音できないということです。

いやいや「しゃじゃた」なら言えるぞ!って方もいるでしょう。「手術」が難しいのは「じゅ」のあとに「つ」が来ることも関係しています。母音の「a、i、u、e、o」のうち、「u」は舌先の方を主に使います。「た」という発音は舌の全体を使っていますが、「つ」は先の方が使われているのがわかると思います。おまけに「ゆ」を含むヤ行は舌のやや中央よりを使う発音。「しゅじゅつ」という言葉は、舌にとって大忙しの作業なのです。

舌が発音の仕事だけをするようにしてあげる

にゃめるにゃよではどうすれば「手術」と言えるようになるのでしょう。舌が忙しいことがわかりました。発音そのもので忙しいところに、息を送り出す仕事もさせられているからです。ということは、その仕事量を減らしてあげればよさそうです。発音自体は舌や唇がする仕事であって、ほかの部分が肩代わりできるものではありません。今回の「手術」は唇も仕事ができません。しかし息を送り出す仕事は他に任せられます。

というよりも、息を送り出す仕事は専門家がいるのですから、そちらに任せるべきです。それではさっそく試してみましょう。

大きく息を吸ったら、ゆっくり口から「フー」と息を吐きだしてください。そして息を吐きながら途中で「手術」と言ってみましょう。うまくいかなかった場合は吐き出す息のスピードを上げてみてください。どうですか??言えましたか??

当然個人差があるものなので、この方法でも言えない場合があります。少なくとも私はこの方法なら言うことができました。意図的に肺から息を供給し続けることで、舌は発音そのものの仕事に専念できた結果です。適材適所の重要性を知るいい実験でした。

タンギングは「トゥ」と発音することが目的ではない

さて、これが楽器の演奏にもつながると言ったのには理由があります。「手術」にも含まれる「つ」。これはタ行の言葉ですが、タ行は肺からの直接供給なしでも発音できます。

吹奏楽器をやっている人にとっては、タンギングは「トゥー」でやれ!という言葉をいやというほど聞いてきたと思います。タ行の発音は一度舌で息をせき止めて、それを一気に放出することによって実現しています。ナ行やラ行も同じように舌でせき止める発音ですが、ナ行やラ行よりもタ行の方が息の放出スピードが速く、はっきりとした音にできます。

タンギングとしてタ行を用いるのが有効であることがわかりました。が、今回の実験結果からタ行は”肺からの息の直接供給無しに”発音できてしまいます。この特徴を楽器演奏時に使ってしまっているかもしれないということです。

たとえば「トゥトゥトゥトゥトゥ」のように連続でタンギングしなければならない時やスタッカートのゾーンでは、いつの間にか肺からの供給がおろそかになっていることがあります。特にスタッカートでは間が空く分、よりそうなっていることが多いです。

肺から息を供給しなくてもある程度は演奏できてしまうため、無意識でやってしまっている可能性があります。こうなると喉から先だけでの演奏となり、速いタンギングができなかったり、スタッカートの音の立ち上がりが悪かったり、粒がそろわなかったりしてしまいます。

さらにタンギングでうまくいかないと、「トゥトゥトゥ・・・」という発音そのものに意識が行ってしまい、より肺からの供給がおろそかになってしまいます。タンギングとは息のせき止めと放出が目的で合って、「トゥ」と発音することが目的にしてはいけないのです。

タンギングの結果としての発音

タンギングは肺から吐き出される息を舌でせき止め、それを放出する技術です。放出する際、息の初速で発音が変わってきます。タ行が速く軽く扱いやすいのですが、ほかにもナ行ラ行、ダ行も発音可能です。ラ行はタ行よりも音の形はあいまいになりますが、舌の接地面積が狭い分、スピードが速いです。また、ダ行はタ行よりも息の出が弱いため、レガートな演奏に向いています。

しかしながら先ほども述べた通り、発音を目的としてはいけません。あくまで息のせき止めと放出を目的としていますから、肺からの息の供給はし続ける必要があります。スタッカートのように間が空く演奏はもちろん、フレーズ内の小さな休符部分でも舌で息をせき止めるだけで、肺からの供給まで止めてはいけません。常に吐き続けることが大事です。

吹奏楽器を演奏するんだから、息を吐き続けるのは当たり前だろ!と思うかもしれませんが、今一度自分の演奏をよく観察してみてください。タンギングが多い部分で息の供給がおろそかになっていませんか??

適材適所は楽器演奏にも重要

チーム一丸となって(さぼんじゃねぇぞ)

楽器を演奏する際、体のどの部位にどの仕事を担当させるかは非常に重要なことです。姿勢を保つのはどこが担当し、息を送るのは、楽器を操作するのは、楽器を持ち上げるのは、音色を作るのは・・・。楽器の演奏にはとてもたくさんの仕事が振り分けられています。そしてそれぞれの仕事をこなすべき部位があることも確かです。

楽器を持ち上げるのには腕だけではなく肩甲骨の周りや鎖骨の周りも使う必要があります。が、特に鎖骨の周り(胸の上部分、バストアップで鍛えるところ)が使われていないことが多く、そうなると腕の負担が大きくなります。楽器を持ち上げるのに、本来すべき仕事量よりも多くの仕事を担うことで、ピストンやキー操作に影響が出ることもあります。

息を送るパワーを作り出すのは胸筋だけではなく、腹筋も使います。横隔膜が収縮して下がることで息を吸うことができますが、同時に横隔膜の下にある内臓が押されます。これによりお腹が膨らむわけです。そして押された内臓を腹筋の収縮で戻すことにより、横隔膜を上へ押し上げて戻し、それによって息を吐きだすことができるわけです。

この時お腹が大した仕事をしないと胸筋が無理やり仕事を増やさなければなりません。そうなると楽器の支え→ピストンやキーの操作に影響があるでしょうし、必要な息の圧力がないため、唇や喉が無理をしなければならなくなります。適材適所を守ることでこれらの問題を解決できるでしょう。

今回は何気ない会話からタンギングのヒントを得ることができました。楽器を演奏しているときに自分の体がどうなっているのか、ゆっくり観察しているといろいろと発見できることがあると思います。曲の練習だけではなく、たまにはロングトーンでもしながらつぶさに観察してみては?

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