どうもー、やまむらこういちです。
年が明けたと思ったらあっという間に月日が流れ、花粉に涙する季節になってしまいました。
先月のアンサンブル大会が終わってから、夏の定期演奏会に向けてひたすら編曲作業を続けてきましたが、ようやくその内の1つである「安室奈美恵メドレー」が完成しましたので、その制作の舞台裏を紹介したいと思います!
1. 3曲から5曲へ――曲順決定までのシミュレーション
真っ正直に告白しますと、私は特段安室奈美恵さんのファンというわけではなく、有名な曲のサビを知っている程度でした。もともと歌もののポップスに疎く、今回の編曲にあたって初めて曲をフルでじっくり聴いたくらいです。
当初は、数ある名曲の中から以下の3曲でメドレーにする予定でした。
- 『Don’t wanna cry』
- 『CAN YOU CELEBRATE?』
- 『Hero』
しかし、構成を練り直すうちに「アップテンポの曲が足りず、メドレー全体のエネルギーが弱くなってしまう」と気づきました。このメドレーは演奏会(企画ステージ)のラストを飾る予定だったため、それなりに演奏時間が長く、そしてドラマチックな緩急(起伏)があるものにしたかったのです。
そこで、急遽アップテンポな2曲を追加し、合計5曲のメドレーへとスケールアップさせました。
- 『Body Feels EXIT』
- 『TRY ME 〜私を信じて〜』
ここで次に悩んだのが「曲順」です。 最後にアップテンポな曲を畳みかけて勢いよく終わるのか、それとも『CAN YOU CELEBRATE?』のようなバラードでしっとり美しく終幕するのか。
何度も脳内で音をシミュレートし、曲同士の繋ぎの相性と全体の盛り上がりのピークを計算した結果、最終的にこの並び順に決定しました。
【安室奈美恵メドレー 構成順】
- 『Body Feels EXIT』(華やかにオープニング!)
- 『TRY ME 〜私を信じて〜』
- 『Don’t wanna cry』
- 『CAN YOU CELEBRATE?』
- 『Hero』(感動的なグランドフィナーレへ!)
2. トランペットから逆算する「調(キー)の設定」
メドレー編曲における最大の難所の一つが、それぞれの曲の「調(キー)の設定」です。
当然ですが、原曲のキーのままで吹奏楽編曲をする気はさらさらありません。なぜなら、管楽器にとってはシャープやフラットが6つも7つも付くキーは演奏が極めて困難になるからです。
そこで、以下の2つのアプローチで調を決めていきました。
① フィナーレのトランペット最高音から「逆算」する
まず、「メドレーの最後(今回は『Hero』のラスト)をどのように終えたいか」を決めます。もっとも盛り上がって響きが豊かになる調を、主に「トランペットの最高音がどの音になるか」を基準に決定します。ここが決まれば、そこから逆算して前後の曲の調をパズルのように決めていきます。
② 前後の繋ぎと転調のつじつま合わせ
曲の変わり目でパッと転調するのか、同一曲の中で自然に転調させるのかを、繋ぎ(ブリッジ)の部分を自作しながら考えていきます。 今回は、テンポがゆったりしている『CAN YOU CELEBRATE?』のブリッジ部分で、前後の曲の調性のバランスを調整しました。
特に苦労したのが『TRY ME』から『Don’t wanna cry』への繋ぎです。 あれこれとメロディアスな繋ぎを試作しましたが、最終的にはあえてメロディーを持たせず、コード進行のドライブ感だけでスマートに移行する形に落ち着きました。
3. チューバ吹きとしてのこだわり:「退屈な伴奏」は書かない!

世の中に出版されている歌ものの吹奏楽譜の多くは、初心者でも取り組みやすいように配慮されているため、伴奏パート(内声や低音)が非常にシンプルです。それこそ、白玉(全音符)でコードを伸ばし続けるだけだったり、四分音符を淡々と刻み続けたりするものがほとんど。
しかし、演奏する側も聴く側も、それではあまり楽しくないですよね。 私はずっとチューバを吹いてきたので、あの単調で永遠に続く「四分音符だけのバスパート」が正直大嫌いでした(笑)。
「自分がアレンジャーのときくらい、全員に楽しい譜面を配りたい!」
そう考え、今回の安室メドレーでは、ハーモニー(和音)を担当するパートであっても、ただ音を伸ばすだけでなく、裏でカウンター(対旋律)のようなメロディックな動きをするように工夫しました。
もちろん、動きを複雑にしすぎると演奏者の負担が増えてしまいます。私の楽団には様々な技量のメンバーが所属していますので、
- 「ここは一番おいしい動きだから、しっかり吹けるあのパートに任せよう」
- 「ここは全員で歌うようにハモろう」 というように、メンバー個々の顔を思い浮かべながらオーダーメイドで調整(カスタマイズ)を施しました。これができるのが、自主編曲の最大の強みですね。
ぐるっと回って、納得のいく仕上がりに
今回の安室奈美恵メドレーは、これまで手掛けてきた編曲の中でも一番と言っていいほどエネルギーを消耗した、産みの苦しみが大きい一曲でした。
パソコンの前で何度も「あーでもない、こーでもない」と書き直しては白紙に戻す作業を繰り返しましたが、完成したスコアを見返してみると、驚くほどシンプルに美しくまとまっていました。
一瞬、「これだけ悩んだのに、出来上がってみれば意外と普通だな……最初からサクッと書けたのでは?」という寂しさを覚えたりもしましたが(笑)、それこそが「悩み抜いて無駄な音を削ぎ落とした、最高のシンプル」なのだと自分を納得させています。
さあ、これで大きな山を一つ越えました! まだまだ演奏会用に用意すべき楽譜(あと編曲2曲、オリジナル作曲1曲)が控えています。
どんどんペンを走らせていかないと、楽団の練習時間が削られてしまいますからね。気合を入れて頑張ります!
💡 編曲活動で同じ悩みを抱える方へ

市販の楽譜で「伴奏パートがちょっと物足りないな……」と感じている方は、ぜひハモりや裏メロディの音符をほんの少しだけ別パートに動かしてみてください。 「全員が主役になれる瞬間」を作るだけで、バンド全体の響きもメンバーのモチベーションも、劇的に変わりますよ!



コメント