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楽譜から音に変換する力

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どうもーやまむらこういちです。

あっという間に年末となってしまいました。所属する楽団は来年夏の定期演奏会に向けて練習を始めています。私はそれに必要な楽譜をガシガシ用意しているところです。

先日、私が大学時代に所属していた吹奏楽サークルの定期演奏会があったので、久しぶりに行ってきました。私がサークルを卒業して以来10年以上もSaxアンサンブルの編曲をしているのですが、それを聴きに。

楽譜では書き切れないこと

毎年夏になるとそのサークルのSaxパートから連絡が来て、定期演奏会で演奏するアンサンブル曲の編曲を依頼されます。卒業から10年以上も経っていますから当然関わりのない年代なのですが、こうやって依頼してきてくれるのは本当に嬉しいしありがたいことです。

今回の依頼はオズの魔法使い。ジェイムズ・バーンズ氏が吹奏楽用のメドレーにしたものをSaxアンサンブルに編曲するものです。アンサンブルと言っても、ソプラノ2、アルト6、テナー3、バリトン2という大編成。打楽器が無いとはいえ、迫力の面で心配はいりません。

向こうの要望として、冒頭に4年生だけで「虹のかなたに」の1フレーズを演奏したいということだったので、オリジナルの要素として組み入れました。この部分をどのようにするのかしばらく悩みましたが、少し洒落た感じに落ち着きました。そして2ndアルトによる長めのカデンツァを書いたのですが、ここで一つ問題がありました。

このカデンツァ部分というのは当然奏者が自分の味付けで演奏するものです。奏者が自分の思うような演奏にするのか、楽譜を書いた人の意図するものを正確に読み取って演奏するのか・・・人によってさまざまだと思います。これを書いた私としてはもちろん自分が思うような演奏というものが頭の中で確立しています。できることならそれを演奏で再現してほしいとも。

私が楽譜を作る時に使っているのはFinaleというソフトで、ある程度の音源再生というものができます。細かく設定すればかなりリアルに作れるのですが、それに割くほどの時間もないし、そういった部分をあまり使いこなせていないこともあり、結局”参考程度の音源”となります。聴いていただければわかる通り、このカデンツァ部分もある程度はテンポなどをいじっていますが、それでも自分が思っているのとは異なります。いっそのこと練習に顔を出して直接伝えようかと思ったくらいです。それでも、そこは奏者が考えるところだと思うし、奏者が納得いく演奏でなければ意味がないと思い、成り行きに任せることにしました。

思い描いた通りの演奏

Sax

12月に入りいよいよ本番。ここしばらく演奏会に行っていなかったので久々ということもあり、そして自分が書いたあの部分がどうなっているのかという期待と不安でいっぱいでした。人の演奏会で緊張するというのはなかなかないことなのである意味新鮮でした。

演奏会は3部構成で、クラシック・オリジナルステージの1部、アンサンブルステージの2部、そしてポップスステージの3部と、自分が現役のころから変わらない流れでした。大人数の迫力ある演奏を楽しみつつ2部のアンサンブルステージへ。

いよいよSaxアンサンブルの演奏となり、5人の4年生による演奏がスタートします。この部分はあまりテンポの揺れがないところですが、音色というか雰囲気というか、自分が思っていたのと一致していて期待が高まります。そしてついにカデンツァ部分へ。

カデンツァでソロを担当した方とは打ち合わせの時に一度お会いしていました。その時はその方のパートも知らないし、そもそもカデンツァを作ることも考えていませんでしたから、こういう演奏をしてほしいと伝えてはいません。楽譜が完成して渡したときもそのことについては言いませんでしたから、本当にこの瞬間までどうなるのかわかりませんでした。

しかしながら実際の演奏は私と綿密に打ち合わせをしたのではないかというくらい、私がこういう演奏にしてほしい!というそのままのものでした。テンポといい、音を伸ばす長さといい、音色と言い、溜め方といい・・・むしろ口で説明していたらここにたどり着けなかったのでは?と思うくらい、それは私にとって会心の演奏でした。

奏者がいて初めて完成する芸術

楽譜を見ていただければわかりますが、あの楽譜を演奏するとなれば、それこそ奏者の数だけ違った演奏となるでしょう。音符一個一個に「これは〇秒で、これこれこういう音色で・・・」なんて楽譜には書けませんから。どうとらえてどう演奏するかは奏者によって決まるわけです。今回はきっとソロを吹いた方と私の捉え方が同じだったのだと思います。

音楽とは絵画と違って、作曲者・編曲者だけでは完成しません。出来上がった楽譜を何らかの形で演奏することで初めて作品として仕上がります。演奏に作曲した本人が入ることもあるでしょう。現代では楽譜を書いた本人が演奏に回るということはあまりなく、せいぜい指揮を振るくらい。誰一人知っている人がいない楽団が演奏することのほうが多いでしょう。そうなれば作曲した人が思い描いていたものとは異なる演奏になることもあるでしょう。むしろその方が多いのかもしれません。

楽譜にすればある程度同じような再現ができます。それでも細かいニュアンスは楽譜に書ききれません。Moderatoだってテンポ80くらいという目安があっても、指揮者によっては前後するものです。そこに音色というものまで入ってくるのですから、どの演奏も全く同じとはいきません。そしてそれこそ音楽の面白いところだと思います。

私は自分自身でも楽器を演奏しますし、指揮も振りますし、作曲・編曲もします。自分が作った曲ならこういう演奏をしてほしい!というものが明確にありますが、人の書いた曲ではそうはいきません。こういうことなのかなーと思いますが実際は違うかもしれませんし、こうだろうなーと思いながらも意図的に変更して演奏することもあります。自分の好みを優先したということですね。プロとしての演奏であれば、作曲者の意思を最優先すべきなのでしょうが、アマチュア・・・趣味でやっている身としては自分の思うような演奏したいというのも事実。だからこそ、今回のSaxアンサンブルの演奏はとても驚いたのです。

楽譜の遊び部分を

楽譜

楽譜に書き切れない部分があるということが演奏の幅を広げるという意味では、そこに音楽の面白さの一つがあると言えます。絵画であれば完成したそのものが作品であり、いつ何時見ても同じものです。ですが音楽は全く同じ楽譜を使っていても、奏者によって・・・いや同じ奏者でもその時によって違うことが多々ありますから、芸術の中でも特異な部分だと思います。作曲者が思ってもみなかった表現になることもあるでしょうし、それに刺激されてまた新しい作品を作るということもあるでしょう。

楽譜を書いて、それをなぞるように演奏して終わり・・・ではなく、こういう演奏をしてみたらどうか、ここをこの音色にしたら、ここはあえて少しゆっくりにしてみたら・・・とあれこれ楽譜と向かい合う時間が欲しいなーと思う今日この頃でした。やっぱり音楽は楽しい。

元となったジェイムズ・バーンズ版↓

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