雑記

合奏で縦を合わせるために何をすればいいか

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どうもーやまむらこういちです。

昨日12日は私たち夫婦の結婚記念日。8周年です。付き合い始めてから10年目に突入しましたが、仲の良さは深まるばかり。あは。

さて、先日楽団の練習の時に「縦を合わせるにはどうしたらいいか」ということが話題になりました。音楽やっているとよく出てくる縦がずれる問題ですが、あまり具体的な解決方法を提示してくれる人っていないんですよね。自分もだけど。

縦を合わせるのに必要なのは共通のテンポ感

指揮棒指揮者がよく「縦がずれてる。合わせて」なんて言うけど、これって「ダーツの真ん中に当てて」って言っているようなもので、言うは易く行うは超難しいんですよね。
しかも合わせろと言っておきながら、どうやったら合うかは教えてくれないんだからたちが悪い。
縦を合わせるのに必要なのは、誰かをじっと見つめたりすることではなく、同じテンポ感を持つことだと思います。

例えば、2人組になって「せーの」の合図で一緒に手をたたいてみることにします。
9割がた手が鳴るタイミングがずれると思います。「せーの」って言っているにも関わらずです。

同時に手をたたくという簡単な動作すら合わないのだから、何十人もの奏者がぴったり同時に音を鳴らすなんて難しいと思いませんか??
確率的に行けば、奇跡と言ってもいいくらいだと私は思ってしまいます。

2人同時に手をたたいてもずれてしまうのは、なぜなんでしょう。「せーの」って掛け声をかけているのにどうしてずれてしまうのでしょう。
様々な要因があるとは思いますが、その一つとして一方がテンポに乗り切れていないということがあげられると考えています。

「せーの」の合図を出している方は、おそらくよほどのテンポ音痴ではないかぎり、正確なタイミングで手をたたいているはずです。
それなのに2人の拍手がずれるということは、合図を出していない側がずれているということです。
合図を聞いているのに、正しいタイミングで手を鳴らすことができないのは、相手の「せーの」で作り出されているテンポについていけていないからです。
仮についていけているのにずれるのは、手をたたくために必要な時間が自分が思っているのと違うからでしょう。

何回か試行しているとだんだんと同時に手を鳴らすことができるようになってくるはずです。
そしてさらに続けていると、かなりの確率で合うようになります。
これは相手方のテンポ感がわかってきて、それに自分も乗ることができるようになったからだと思います。

つまるところ、相手の拍手と同時に手を鳴らすときに、相手の手と手がぶつかる瞬間をつぶさに観察する必要が無いということです。
「せーの」という掛け声をもとに相手のテンポを知り、どのタイミングで音が鳴るかを読み取り、そこに自分の拍手を合わせているということです。

縦を合わせようとしなくても勝手に合うようになる

だから最初に言った合奏時の「縦を合わせろ」という言葉は「みんなで同じテンポ感を持て」という意味であって、「(特定のだれかを)つぶさに観察し、音が鳴りそうな瞬間をとらえてそこに合わせろ」という意味ではないのです。
でも「縦を合わせろ」という言葉だけでは、自分が合っているか間違っているかも確かめずに、だれか基準となる人、例えば自分が一番うまいと思っている人の音の動きに瞬発的に合わせていこうとしてしまう危険性があると思うんです。
これは動いている針に糸を通すようなもの。狙えば狙うほど縦が合わないでしょう。

みんなが同じテンポ感を持っていれば、誰かの音が出てくる瞬間を凝視していなくても、タイミングがわかるはずです。
そのテンポ感に乗っかっていればいいだけです。
じゃあテンポ感を合わせるにはどうすんの??って話ですよね。そもそもテンポ感が合わせられるなら縦も合わせられるでしょと。

縦がずれているということは、みんなのテンポ感がずれているということです。
曲のイメージや演奏中の心理状況などが原因でみんなそれぞれのテンポ感を持っているからです。
例えば練習中と本番では、大体の場合本番の方がテンポが速くなりますよね。自分のビート=心臓の鼓動が速くなったり、ドーパミンが出て興奮状態になったりしているからです。

絶対音感のように絶対テンポ感みたいなものがあればいいんでしょうが、なかなか難しいでしょう。
毎年年末にオーケストラによるカウントダウンイベントを行う東急ジルベスターコンサートというものがあって、年が明けるその瞬間に曲が終わるように演奏をする人気イベントですが、名指揮者が時計を見ながら振っているにも関わらず、ずれるときはずれます。それほどテンポ感というものは様々な影響を受けやすいとも言えます。

テンポ感を合わせるための曲のイメージ

心臓の鼓動を合わせることはできませんが、曲のイメージを合わせることはできます。
曲のイメージが合っていると、テンポ感はもちろん抑揚のつけかたやフレーズの歌い方も自然にあってきます。
つまり「縦を合わせろ」という言葉は、雑に言ってしまえば指揮者の怠慢であり、「どういうイメージをもって演奏するか」をみんなで議論すべきだと思うんです。

そして曲のイメージがそろったところで演奏をしてみる。
それでもずれがあるようなら、奏者それぞれがそのずれに気が付いているかを確かめる必要があります。
これは、そもそも奏者がずれに気が付いていないのなら、何をどう改善していいかわからないからです。
自分がずれていることがわかっていればずれを直す=イメージをより正確に持ち直すことができますが、わかっていなければそういった試行をしようとしないからです。

指揮者は楽譜や指、アンブシュアや呼吸などを気にしなければならない奏者よりかは客観的に音楽を評価する余裕があります。ずれているのが最初にわかるのも指揮者でしょう。
その場合は指揮者以外でずれたことに気が付く奏者がいるかどうか、特にずれている奏者が気が付いているかを確かめる必要があります。
演奏に夢中でずれに気が付かないのであれば、テンポ感を持って演奏しつつ自分がずれているかどうかに気が付くことを目標とすべきです。
ずれに気が付けば万々歳。ここまでくれば自然に合っていくと思います。

当然これは奏者全員が一つの音楽を奏でることに積極的である必要があります
心ここにあらず…の状態では絶対に改善しないことです。

私は楽団の指揮をやらせてもらっていますが、こう書いていて反省する一方です。
自分の諫めとして、少なくとも「縦がずれているから合わせろ」という言葉は使わないように、言い聞かせることにします。

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