どうもーやまむらこういちです。
今日、木枯らし一号が吹くかもということで、本格的に冬到来となりそうですね。ようやく加湿器を稼働させましたー。
さてさて、ひょんなことからフレンチホルンをお借りすることができたので、吹いてみましたー。
ホルンが金管楽器の中でも難しいとされるのはなぜなのか、今更ながらに知ることができました。
まずは恒例(?)のへっぽこ演奏から
ホルン用の楽譜集は持っていないので、とりあえずトロンボーンのもので・・・。
ムーンリバーを吹いてみました。ピッチ調整どころかアンブシュアモーションも慣れないので、いつも以上のへっぽこぷり。でも高音は出るという。
吹いてみてまず思ったのは、簡単に隣の倍音列に転がってしまうということ、そしてマッピが小さいにも関わらずトランペットのように詰まった感じがしないことでした。
しかしなぜにホルンが難しいとされているのでしょうか。
他の金管楽器と違うところ
金管楽器は唇の振動数でどの倍音列を豊かに鳴らすのかを決め、ピストンやスライドで管の長さを長くすることにより、音程を下げていきます。
つまり音程を上げるためのキーはありません。音程を上げるのはあくまで唇の振動数です。
トランペット(B♭)でいうチューニングのドとその1つ上のレは、音程としては隣の音ですが、倍音列が違います。
反対にドのすぐ下のシはドと倍音列が同じです。ドから半音分長く管を通すことによってシの音を出しているわけです。
一方レはドよりも上の倍音列であるミから全音分長く管を通すことで演奏しています。よってこのドとレでは唇の振動具合が違うということになります。
これが倍音列です。一番左の基音から順に第2、第3と上がっていきます。振動数が倍になるとちょうど1オクターブ音が高くなるので、第2、第4、第8・・・と2のべき乗は基音と同じ音になります。
さてトランペットをはじめ、トロンボーンやユーフォ、チューバなどの金管楽器は大体第2倍音から第8・9倍音あたりを使用します。この倍音列譜をinB♭としたときに、第4倍音がチューニングB♭になります。
チューニングB♭を便宜上ドと呼ぶことにします。
このドはトランペットでは開放、すなわちピストンを1つも押さない状態で鳴らします。そもそもこの倍音列表に書いてある音は全て開放で出せるものです。
このドから次の倍音に音をあげるとミが鳴り、下に下げるとソが鳴ります。
ではその他の音はというと、この倍音たちをもとに通す管の長さを長くして音を下げていくことで鳴らしていきます。
つまりさきほどのドから半音下げてシ、全音下げてシ♭、全半音下げてラ、2全音下げてラ♭という感じですね。
じっさいトランペットは楽譜がB♭に移調されて書かれているので、この倍音列譜と記譜が同じ高さです。
これはホルンの記譜に合わせた倍音列譜です。一般的によく使うであろう(楽譜上の)下のドから上のソがトランペットと比べて高い倍音列で構成されているのがわかります。
ホルンは非常に管の長さが長く、かつ管が非常に細いことが起因しているようです。
なぜ大変なのか
他の金管楽器と比べて高い倍音列で演奏するホルンは、何が大変なのでしょうか。
さきほどの倍音列譜を見てわかる通り、高い倍音になればなるほど、次の倍音までの音が狭くなります。
仮に基音を出すのに100の振動が必要だとしましょう。次の第2倍音に必要な振動数は200になります。つまり倍の振動数が必要になります。
では第3倍音はどうでしょうか。第3倍音は当然300の振動が必要です。その差は先ほどと同じく100です。
しかしながら100に対する100と、200に対する100では割合が違います。基音から第2倍音へは2倍だったのに対して、第2倍音から第3倍音へは1.5倍となるわけです。
倍音が高くなればなるほど隣の倍音列の振動数との割合が狭まってきます。振動数の差は変わらず100ですが、奏者はどんどん狭まっていく感覚を感じています。
ホルンは他の金管と比べて高い倍音列を使っているため、倍音列間の移動は簡単ですが、狙った音を出すのが難しいと言えます。
ホルンはたびたびグリッサンドがありますが、これは倍音列間の移動が他の楽器よりも簡単かつ狭いからです。狭ければ間の音がたくさん入りますからね。
しかしながらすぐにとなりの倍音列に切り替わってしまうので、音が狙いにくい。
しかも高音域だけではなく低音域にも広く余裕が残されているので、とにかく幅広い音域を任されることが多いというのがホルンの難しいところだと思います。
基音より低い音は出すことができません。通常使っている音域から基音までが他の金管楽器よりも広いホルンは、低音域も他の金管楽器より数多く出せます。
世界で一番難しい金管楽器「ホルン」を吹いてみて
他の金管楽器を吹いていた私にとって、ホルンという楽器は実に新鮮でした。
苦しくない音域なのに倍音列がコロコロ変わるというのは、トランペットやトロンボーンなどを経験した人にとって難しいながらもとても楽しいです。
世界で一番難しい金管楽器とギネスで言われている通り、扱いが難しいと思うこともありますが、楽しさが上回るのでハマりますね。
マウスピースがトランペット並みに小さいけれど、そこまでバテないのも魅力的です。
狙った音がしっかり出せるように今後も練習してみようと思いまーす!