どうもー、やまむらこういちです。
最近は天候に振り回される日々ですね。娘の運動会が延期に延期を重ね、この時期は「いつになったらできるのか……」とやきもきしてしまいます。これもまた、日本の季節の風物詩として受け入れるしかないでしょうか。
さて、今回は大切なお知らせです。 所属する吹奏楽団の定期演奏会用にとコツコツ作成を進めていた、オリジナル自作曲がようやく完成いたしました!
団員からのリクエストは「演奏会の第1曲目となる、オープニングにふさわしい序曲風の曲」。 「序曲風」というお題はなかなか難しいものでしたが、自分なりに解釈し、実験的なアプローチを詰め込んだ一曲に仕上がりました。
「序曲」が持つ本来の役割と、新元号「令和」の風

本来、クラシック音楽における「序曲(オーバーチュア)」とは、オペラや劇音楽の冒頭で演奏される曲でした。 まだガヤガヤと落ち着かない観客の注意をステージに引き付ける役割と、「これから始まる物語のあらすじ」をメドレーのように紹介する役割を持っています。
誰もが知る有名曲でいえば、オッフェンバックの歌劇『天国と地獄(地獄のオルフェ)』序曲などがその代表例ですね。
「では、私たちの定期演奏会の『あらすじ』となる曲をどう描くか?」と考えたとき、頭に浮かんだのが新元号である「令和」の思想でした。
「時に、初春の令月にして、気淑く風和らぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫らす。」(万葉集)
令和の出典となったこの美しい一文から、私は「風」というキーワードを拝借しました。
さらに、私にはどうしても大きな影響を受けた、敬愛する一曲がありました。 日本が誇る天才作曲家・真島俊夫氏の代表作『三日月に架かるヤコブのはしご』です。
華やかでありながらコンパクトに劇的な要素が収められたあの名曲が「月」を描くものなら、こちらは令和の時代を駆け抜ける「風」を描こう。 「風(Wind)」=「ウインドアンサンブル(吹奏楽)」らしく、自分の記憶にある大好きな吹奏楽曲たちのエッセンスをたっぷりと散りばめたオープニングを作ろう。
……というのは、出来上がってから思いついた、ちょっと格好のいい後付けの理由なんですけどね(笑)。
脳内のインクがじわじわ広がるような作曲プロセス

実際の作曲のスタートは、もっとシンプルで泥臭いものでした。
ある日、ふと頭の中に「ある2種類のリズムの繰り返し」が浮かんできました。 楽譜に書けばほんの数小節の、しかし妙に耳に残るそのフレーズを、私は「今回の曲の核(テーマ)」にすると決めました。
そこからは、紙に落としたインクがじわじわと滲んで広がっていくように、少しずつ続きを展開していきました。 何度も書いてはボツにして白紙に戻す作業を繰り返しましたが、あの最初の数小節だけは絶対に消しませんでした。
私のような素人同然の人間が曲を書くというのは、本来なら手に余る大仕事です。 音楽は芸術ですから「唯一の正解」はありませんが、それでも「演奏してくれる仲間」がいて、「聴いてくれるお客さん」がいる以上、独りよがりな音の羅列にはできません。
数多くのプロの吹奏楽作品を何度も聴き返し、構成や和音の進行を貪欲にインプットしました。 もちろん、吹奏楽をたくさん聴いてきた私の頭からひねり出した曲ですから、団員たちからは「ここ、あの曲っぽいよね!」なんて突っ込まれます。でも、それでいいと思っています。自分の引き出しにある大切な音楽の蓄積こそが、今の私の「色」を作る原料だからです。
【実験】主調から外れたまま、あえて地に足がつかない終わり方
今回は、普通ならあまりやらない「変わったこと」も仕込んでいます。 曲のラスト、通常ならきれいに主調(トニック)に落ち着いて解決して終わるべきところを、主調から少し外した不安定な響きのまま、あえてスパッと終わらせてみました。
単体で聴く曲なら締まりが悪く聴こえるかもしれませんが、今回のオーダーは「演奏会の第1曲目」。 あえてフワッとした余韻を残すことで、「オープニングはここまで。さあ、ここから次のプログラムが始まりますよ!」と、聴き手の関心を次のステージへとスムーズに橋渡しするための演出です。
3. 小編成の弱点を克服する「アンサンブル発想」のスコアリング

私たちの楽団は、団員20名に満たない小編成バンドです。 木管の低音楽器(バスクラリネットやファゴット)や大型の打楽器はなく、トロンボーンも不在という、かなり偏りがある偏性です。
通常、頭の中で「フル編成の吹奏楽」を思い浮かべて作曲し、それを小編成用に薄く書き直していくと、どうしても「あぁ、やっぱり音がしょぼくなってしまったな……」という敗北感に襲われます。
そこで今回は、真逆のアプローチを試しました。 最初からフルバンドを想定するのをやめ、「クラリネット2本、トランペット、トロンボーン(当時は不在でしたが、想定として)、チューバ」という5重奏のアンサンブルを骨組みとして作曲したのです。
これは楽団の中でも信頼が置けて、器用にコントロールしてくれるメンバーのパートです。 まずこの5人の緊密なアンサンブルとして曲の骨格を完成させ、そこへ打楽器や他の木管・金管の音を「重ねて、肉付けしていく」という手順を踏みました。
この「アンサンブル発想の作曲法」は、大正解でした! 音が重なり合ってスコアが完成したとき、人数が少ないとは思えないほど、非常に分厚く引き締まった響きが生まれたのです。
薄っぺらさを感じさせないこのスコアリングの手法は、今後の我が楽団向けの作曲や編曲において、とても強力な武器になると確信しました。
次はいよいよラスト、アンコール曲へ!
オリジナル自作曲『風』が形になったことで、肩の荷がすっと軽くなりました。 これで私が用意すべき楽譜は、残すところあと1曲。 誰もが知る超有名曲のアンコール・アレンジです。
こちらは余計な小細工はせず、シンプルかつサクッとハッピーに終わる構成にする予定です。
自分でゼロから作った音楽が、信頼する団員の息によって「実音」に化ける瞬間ほど、贅沢でワクワクすることはありません。 来月のルネこだいらで、この『風』が会場を吹き抜ける瞬間を、今から本当に楽しみにしています。
皆さんも、もし「小編成でどうしても音が薄くなる……」と悩んでいたら、ぜひこの【アンサンブル骨組み構築法】を試してみてくださいね! また新しいアレンジが完成したら報告します。お楽しみに!



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