どうもーやまむらこういちです。
先週土曜、娘の運動会は延期となり日曜も延期。次は火曜日ですが、おそらく延期になるだろうなー。いつになったらできるのか・・・、この時期は仕方がないですね。
さて、所属する吹奏楽団の定期演奏会用にオリジナル曲を作成していましたが、ようやく完成しました。今回は演奏会の第1曲目ということで序曲風の曲を・・・という注文でした。序曲風というのは難しいのですが、要はオープニングに使えるような曲ということだと解釈して作ってきました。
序曲とはあらすじのようなもの
本来序曲というのはオペラや劇音楽などで最初に演奏される曲でした。聴衆がざわついている中スタートして注意を引き付けるような意味合いと、劇全体のあらすじを表すような曲となっていたようです。
有名なところでは『天国と地獄(地獄のオルフェ)』序曲でしょうか。第3部のギャロップ部分は運動会で有名なあの曲ですが、本編の地獄でのダンスシーンで使われている曲です。
実際に本編で使われる曲を入れてみたり、全体の雰囲気を表すような曲としての性格が強いのが序曲です。よって本来の目的に従って作るとすれば、今回の定期演奏会のあらすじとなるような曲にしなければなりません。
タイトルの『風』ですが、これは此度の元号「令和」に関係します。”時に、初春の令月にして、気淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫す。”とは万葉集のとある一文ですが、ここから令和が採られたということですね。
今回のこの曲、実はとある曲を参考に・・・というより大きく影響を受けて書いたんです。その曲とは真島 俊夫作曲の「三日月に架かるヤコブのはしご」です。
この曲はかなり前から知っていて個人的にすごく好きな曲の一つでした。まず間違いなく自分ではこんな曲を思いつくことはないだろうという、天才作曲家の凄さを感じた曲の一つでもあります。オープニング・・・としてはやや重いですが、それでもこれだけの要素をよくここまでコンパクトに収められるものだと常々思っていました。
せっかくだから多分にこの曲に影響された曲を書いてみようと思い立ったわけです。この曲が『月』であればこちらは『風』だろうということで、大胆にも令和時代のあらすじを描こうとしたわけです。
また「風=ウィンド」からウィンドアンサンブル→吹奏楽ということで、吹奏楽らしさを存分に出せるような曲にしようと、私の記憶の中にあるたくさんの吹奏楽曲からいろいろと拝借して散りばめてみました。それがこの「序曲『風』」です。
・・・というのは全て後付けですけど。
どういう曲にするか考えた時に・・・
実際はそんなこと一切考えずにシンプルに脳内で出てきたのは画像の部分。音にして2種類、同じリズムを2回繰りかえすこの部分がふと出てきたのを逃さず展開していったのが始まりです。
じわじわとインクが広がっていくように少しずつ少しずつ続きを考えていきました。何回も破棄して作り直して・・・と繰り返しましたが、この最初の部分だけは消しませんでした。この部分こそ今回の曲の核として自分で決めたからです。
しばらく経ってから先ほど述べたように「三日月に架かるヤコブのはしご」を思い出して、数回聴いて徐々に内容を固めていきました。
結局のところ素人同然の私が曲を作るというのは本来手に余る所業であって、おいそれとできるものではありません。音楽というのは芸術ですから唯一の正解というものはありませんが、それでも演奏する人とそれを聴く人がいる以上、自分以外の存在を無視することはできません。ある程度は曲としてまとまっている必要があります。
そうなるといろいろな作品を参考にする必要があるのも当然です。団員からは「ここ、あの曲っぽいよな」とか言われますけど、まあそりゃそうですよ。自分の引き出しは今まで聴いてきたいろいろな作品で埋まっているのだから。
そういった中でどこか自分の色を少しでも入れられればいいと書いてきました。今回もちゃんと作曲を学んできた人ならやらないだろうことも入れましたしね。
曲の終わりで主調から外れてそのまま終わるなんてのはあまりやるもんじゃないですね。曲全体の締まりが悪いというかどこか地に足付かない感じがします。でも今回は演奏会の1曲目という構成の指定まである状態だったので、オープニング かつ まだそのあといろいろと曲が続くという位置の曲にするために変わったことをしました。
やや落ち着きがない終わり方をすることで、次の曲へ関心が行くようにと。最初は無理やり主調に戻そうとしていたのですが、出来上がったのを聴いてみて「こっちの方がいいかも」と、それ以上手を加えることをやめました。これも含めて自分の曲かなと。
フル編成で考えると後がしょぼいので
いつも吹奏楽曲を作る時は頭の中である程度作ってから楽譜にしていきます。そのとき頭の中では吹奏楽フル編成の状態で作っていることが多いです。
無意識にそうなっているからなのですが、これだと実際の編成用に楽譜にしたときに「なんかしょぼいな」となってしまうんですね。所属する吹奏楽団は20名にも満たない編成で、木管低音や大型打楽器がありません。トロンボーンもいないので編成的にかなり偏っていて、かつ小さいというものです。
フル編成を想定して作った曲をこの編成に直せば当然薄くなります。まあ、もとのフル編成バージョンは私の頭の中だけなので誰もわからないんですけどね。
今回はアンサンブルを想定して頭の中で作って、それを楽団の編成にしようと試みました。アンサンブルといっても音域や指回しなどの都合で、クラ2本、トランペット、トロンボーン、チューバという変則的なものですけどね。楽団の中でも比較的意思疎通が取りやすく器用にこなしてくれるメンバーのパートです。実際このメンバーでやるとしたら・・・という設定の下で作っていきました。
実際にはもっと人数もパートも多くなりますし、打楽器も入ります。アンサンブルで想定していた曲が、実際に演奏する編成で完成した時は想定より分厚くなった”でき”に自分でもすこし驚いたくらいです。重ねる音も多めにしたおかげか、小さい編成ながらも薄い感じがあまりなく我ながらいいんじゃないかと思いました。
今回は実験的にやってみましたけどなかなかこちらの方が良さそうなので、今後楽団用に書く曲はアンサンブルを想定して骨組みを作ろうと思います。
残すところあと1曲
これで自分が楽譜を用意する定期演奏会用の曲は残すところあと1曲となりました。とはいえアンコールでしかも超有名曲なので、あまり凝ったことはせずにシンプルに作るつもりです。時間もあまり長くせずにサクッと終わる感じにしようかと。自作曲が終わったことで気分的にはかなり楽ですね。また新しい曲を作ったら報告いたします!